他の旅行者と同じものしか見ていないことも同じ写真しか撮っていないことも気に入らなくて、どこかガイドブックにも載っていないところへ行きたかった。
だけど、ラサからは出られない。許可証もなかったし、更なる高山病が嫌だったし、この日はラサ最終日で、時間もなかった。
そこで、遂に地図を買うことにした。
海外の観光地では、ホテルやインフォメーションデスクに無料の市内中心部の地図があったりするけれど、ラサでは見かけなかった。
その代わり、有料の地図を町で何度か見かけました。地図を「買う」ということが信じられなかったので、地球の歩き方の小さな地図だけで終わらせようと思っていたけれど、ガイドブックの地図では範囲が狭すぎたし、メジャーな観光地しか載っていなかった。
なので、この日の朝、ついに有料の地図を買った。100円か200円ぐらいだったけど。大きな地図で、それほど詳しくはなかったけど、高低と川は分かりました。それだけで十分。
まず、地図を見て、住宅街から離れた少し高い山の麓のあたりまで行ってみることに決めた。もちろんタクシーで。ホステルから出てすぐタクシーを拾い、地図を見て指をさしました。
「ここへ行って下さい」
何だか分からないけど了解してくれたみたいなので、出発。
全く英語を話せないドライバーさんと静かなドライブの後、中心地から外れ、山の下の石ころガラガラの道へ行って降ろしてくれたけど、料金でもめた。
何を言っているか分からなかったけど、想像するに、
「こんな人が来ないようなところまで連れて来たんだから、そんな少ない料金じゃなくてもっと払ってよ。結構な悪路を走ってきたんだから、通常料金じゃ足りないよ」
と言っていたと思う。そんなに距離は走っていなかったけど。
今回ばかりはご最もかなと思ったので、少し多めにチップとして払いました。それでも安かったけど、いくら払ったか忘れてしまった。
そして、降ろされた誰もいないどこだか分からない場所をてくてくと進んでみた。
こんなところでした。
家らしきものがないわけではなかった。
だけど、「おお、これがチベットだ!」と感動した。だって、観光客なんていなかったから、何だか楽しかった。道だか何だか分からなかったけど、少し進んでみた。
やっと発見した現地の人は、静かにマニ車をただただ回していた。これがチベット人の日常なんだろうな。
マニ車とは、チベット仏教の仏具で、上の写真のように手で持てる小さいものから、人間の数百倍あるほど大きなものまでたくさんあるらしいです。回せば回すだけ功徳を積めると言われているようで、だからか、歩きながらくるくるくるくる回していたりします。五体投地よりずっと多く見かけました。
上の写真の女性は、誰も見ていないのに、一人で座ってマニ車を回していました。
では、タクシーで降りたところから、タクシーで来た道を歩いて元に戻ってみよう。
遠くにポタラ宮が見えた。
結構離れた所へ来たのかな。
この砂利道にも壁画があった。観光客なんて絶対に来ないようなところにも壁画があるのだ。顔から布まででている。まさか洗濯物を干しているのではないだろうと思う。
さて、やっとちょっとした住宅街というか、地図にも少しは道が載っているような場所まで戻ってきました。
私が泊まっていたホステルあたりはラサでも栄えているほうだけど、少し離れて裏路地を歩けば、普通の民家がたくさんあるのだ。
親子を見つけたので、ふと足を止めました。ここはこの親子の家の入口らしい。
この子にズボンを履かせている最中。
話しかけてみようと近寄ってみた。すごく可愛い女の子。
お母さんと話したかったので呼んでみたけれど、もういなかった。トイレだったかな。
諦めて進むと、ゴミ処理場みたいな場所というか、ゴミだかリサイクルだか良く分からないけど、すごい悪臭だった。
悪臭を過ぎたこの辺から道が少し広くなりました。「道」らしくなった。
子供が目についちゃって。
こんな高地で大人の私より元気なものだから、感心してしまった。
ようやくポタラ宮が(ズームしたら)近くに見えるようになった。
まっすぐ行くのもつまらないから、ちょっと脇道へ逸れて街を歩こう。
売っていた。乾燥される前だよね。
車は絶対入れない道へ。
店を見つけたけれど、別に買うものもなし。ポカリもまだあったし。
迷宮みたいで楽しかった。
そして、遠回りをしていたけれど、ポタラ宮の裏に着いてしまった。
ちょっと大きめのマニ車。
おばあちゃん、道端で堂々とお金を数える。
さて、そろそろお腹がすいたな。
だけどもうヤクは飽きた。ちゃんとしたものが食べたい。ヤクもちゃんとしているけれど、そうではなくて、自分が何か分かる食べ物を食べたかったというか、ちょっと清潔安心なトイレがあるところへ行きたかったというか・・・。
迷っていたら、ホテルの裏側らしきところに入ってしまって、そこからホテルのレストラン(だと思う)に出ました。「出ました」じゃなくて、「入りました」だな。私も何であんなところに入口があったのか分からないけど、向こうも何で正面玄関じゃないところからお客が入ってきたのかとびっくりしたと思う。
入り方は変だったけれど、聞いてみたらランチがあるようだったので、ここで食事をすることにした。
ビュッフェしかなかった。チベット料理ではなく、中華でした。
大して食べなかったけれど、なぜか満足。
そして、更にホステルのほうへ向かうつもりで散歩をしている最中、「うぎゃああああ」と思った。
この日差しの中、この高地のチベットで太陽に燦々と照らされて3時間ほど歩いていた結果、顔と首左半分が日焼けしてしまっていた。
太陽を左にして歩いていた時間が長かったため、左だけ日焼けです。顔は化粧をしていたから何とかなったけど、悲しいことに、長い髪を結んでいたのです。
耳から首は日焼け止めなど塗っておらず、触れもしないほど真っ赤赤になった。そして、顔はファンデーションを塗ってあったとはいえ、頭皮と顔のギリギリのラインまで上手にファンデを塗れるわけでもなし、ちょうどキワのところも日焼けしました。つまり、顔の周りのラインが赤いのです。目立ちはしないけど、痛かった。首もめちゃくちゃ痛かった。
これはまずいなと思って、何か塗りたくて、薬局を探しに行くことにした。ラサのメイン大通りに出たらすぐに見つかったので助かった。
もちろん薬局では言葉は通じなかったけど、首の赤みを指させば、私が何を買いたいか分からない薬剤師はいないはず。
そして、やはりすぐに分かってくれました。薬局の人が3人とも出てきて中国語で色々話しかけてくれたけど、全然分からなかった。
でも、中国人なら少し筆談可能なため、筆談開始。向こうは日本人だから気を良くして色々と話そうとしてくれたけれど、私の筆談中国語レベルで分かることは聞いてくれなかった。質問にろくに答えられずに終わってしまった・・・。
でも、軟膏はちゃんと買えました。早速その場でそれを塗ってくれたけど、痛いの何の。その日からのシャワーは、水が当たると刺すような痛みだった。
軟膏では痛みは消えなかったけれど、それでもめげずに午後も出かけて行きました。