ここは何だろうな。
全然何だか分からないけれど、眼鏡がないので良く見えないけれど、何となくあそこに人が寝ているような気がする。観光地でそういうのありなのか。雷門の前で寝ている人、見た事ないぞ。
ここに入ったら客引きが諦めてくれたけれど、こちらから撮ればクフ王ピラミッド入り口前の人たちはほとんど映らないけれど、自分の目の前の人たちが映ってしまっている。
どくまで待とう。
・・・・・。
・・・・・。
・・・・・。
どいたからといって決して美しいピラミッドが撮れるわけではないらしかった。
なんというか、藁ぶき屋根の三角の家みたいだ。しょぼい。
ピラミッドのどのあたりが美しいのだろうか。
これでカレンダー、無理じゃないか。
いや待て、落ち着け。まだエジプトにたくさんあるピラミッドのうち一番有名な三大ピラミッドの中の一つを見ただけなのだ。
大丈夫だ。きっともっと素晴らしいものに出会える。大体、今日が初めてのまともな観光日だ。
次へ行ってみよう。カフラー王のピラミッドへ行こう。
そして、クフ王のピラミッドを通り過ぎてカフラー王のピラミッドへ行く事にした。
きっちり測られたような石が綺麗に積み重なっているというので、さぞ素晴らしい理系技と職人技で並べていったのだろうと思っていたけれど、左側を見て分かるように、ガタゴトで、ぴっちりキッカリの職人技には全く見えない。
緻密な計算とか、そんな理系脳が素晴らしい人たちにより作り上げられたと思っていたのに、大きな石を鋭利なものでガツガツ切って適当に積み上げたようにしか見えないのは私だけか。
古代からの謎だったはずなのに。誰がどうやってピラミッドを作ったのか、永遠のミステリーだったはずなのに。
実はただの偶然の一致で、当時の国民全員でただ石を運んだだけじゃないのか。
「とってもほんわかする家族連れがラクダに乗って観光する時にバッグにある藁ぶき屋根の三角な家」ということならとっても納得がいくと思う。
そんな事を悩んでいる間も、左には客引き男子がいた。カフラー王のところに行くだけだからいいよと言ったけど、着いてきた。
そして、カフラー王らしきピラミッドに到着したのだけれど、チケットにはどう見てもカフラー王と書いてあり、自分が買った入場券がメンカウラー王ピラミッドだと思っていたけれどカフラー王だったならそれはそれでまあいいとしても、本当にカフラー王ピラミッドのものなのかどうなのか、ちょっと悩んだ。
というのは、地球の歩き方には、カフラー王ピラミッドは閉鎖中で中に入れないと書いてあったので。もちろん、地球の歩き方は情報更新が遅いため、昔の話をいつまでも書いてあることもあり、間違って書いてあったところで全然驚くほどの事でもない。
情報更新されていなかっただけで、カフラー王ピラミッドの入場が可能になっており、チケット売り場で売ってくれたのはカフラー王ピラミッドへの入場券だったとしたら、私が中に入るピラミッドはこれだという事になる。
カフラー王ピラミッドは入場できないとガイドブックに書いてあったんだけど入れるってことだよねと着いて来てしまっていた客引き男子に聞いたところ、知らない様子で、何でピラミッドで客引きをしているのにそんな事を知らないのだろうと思っていたら、年配の客引きが登場した。
その男の方が年が上だったからか、男子はすんなりと引き、交代するようにその年上男子が私に勧誘してきた。
「こっちへおいで」と。
私は私が進む方角へ行っているだけなのに、勝手に着いてくる上に私より先を歩くため、私のほうが頼んで道案内をしてもらっているかのようになってしまって嫌な感じだ。あれほど目の前にあるピラミッドへ行くのに誰も間違えたりはしないので放っておいて欲しい。おまけに、
「マイドーター コッチダ」
と呼ぶので、イライラした。
ドーターとは、英語で娘という意味だけど、この男の娘になった覚えはない。こういうところも、非常にうざい。呼びかけ単語として使うなら、レディーとかお嬢さんとか、そういうのにしてほしい。軽々しく娘と呼ぶな。
私の父親は一人だ。そしてそれはお前ではない。
「マイドーター アレガ カフラーオウノ ハカダヨ」
私 「いいよもう着いて来なくて。見れば分かるから。場所、間違えようがないから」
男 「マイドーター キミハボクノドーター イッショニイクヨ」
私 「来なくていいって。それから、私、あなたの娘じゃないからね」
男 「マイドーター ピラミッドノナカ ユックリミテオイデ ワタシハソトデマッテイルカラ」
聞いてんのか。
娘じゃないっていうの。
ついでに、頼みもしないのに私の行く場所に着いて来て、見れば分かるのにしつこく案内して、その挙句、人の観光するのを待っているって、しつこすぎだ。
ストーカーかお前は。
私 「ついて来なくていいって。待ってるのもやめて」
男 「ピラミッドミテオイデ デテキタトコロニボクガイルカラ ツカレタラボクノ ラクダノルトイイ」
ああそうか。ラクダに乗せたいのか。
嫌だよ。
私 「ラクダ、乗らないから待ってなくていいよ。私、乗らないから」
「アッチダヨ」
見れば分かるっていうの。
「イリグチハミギガワダ」
それも行けば分かるっていうの。
「モウスグダヨ」
そこに見えるんだからもうすぐなのも分かるよ。
「アソコガイリグチダヨ」
私 「はいどうもありがとう。見れば分かるんだからいいよ。ラクダ、乗らないから。待ってなくていいよ。高いから危ないし、直接乗るのは臭いし嫌なの。乗るなら馬車だから、ラクダには用事ないからいらないよ」
男 「マイドーター ダイジョウブダ デモモシトッテモイヤナラ ロバアル オイガヤッテル デンワデキル」
私 「甥もピラミッドで働いてるんだ。でも好きに写真撮りたいから、約束とか、干渉なんで、自由がいいから、馬車いるならその時に何とかするからいい。今はいると思っていない。待たないで。そういうの、うっとうしいから」
男 「マイドーター キミハボクノムスメ ココデマッテイルヨ イッテオイデ」
都合の悪い事は意味が分からないふりをするのか本当に理解していないのか。
しつこさがねちっこいなと思ったけれど、観光客は他にもたくさんいるんだから、たった一人を待つような無駄な事はきっとしないのだろうと思った。
すぐに他の獲物を見つけて消えるだろうから放っておけばいいよなと思い、とりあえずピラミッドへ入る事にした。
さて、ここか。クフ王もそうだったけど、ものすごくしょぼい案内しか作らないのね。こんなもの、1万円ぐらいあったらできそうだけど。普通、説明の看板とか、もっと大きなものがあると思うんだけどね。
カフラー王のピラミッドの中へ
全く中の立体感が分からない図だな。理系脳がなさすぎる。6と7のあたりなんて、野菜スライサーにしか見えないが、何なのだろう。
12時34分、不満ながらも、人生初のピラミッド入場。
入り口はセキュリティチェックかと思いきや、チケットを見せるだけで素通り。
入り口前にたむろしている人たちが何をしているのかは分からなかったけど、とりあえず、この入り口に驚いた。下るのか・・・。