ハッピージャナイ! ドウシテダ!
と叫ぶ馬車男子を放っておいて馬車から降りた。書き忘れたけれど、300エジポンは1680円です。たったあれだけの馬車で1680円も稼ぐなんて、エジプトでは相当高いと思う。客引きは、決して貧しいわけではない。がめついだけ。
楽したくて馬車に乗っても結局最後は不愉快だった。歩いてもうるさいし、乗ってもうるさい。
スフィンクスとは
さて、右側にはスフィンクスが見えていたけれど、遠目に見ても予想していたものではないだろうなと分かった。
こんな姿とは知らなかった。もっと小さい気がしていた。スフィンクスの後ろにピラミッドが見える写真が多かったから。手前にうまいこと犬が写っているので、大きさの比較をしやすいと思う。
前には、何を作っているのかさっぱり分からないものがあったけど、何かを作っているわけではないのかもしれない。どちらにせよ、何とかしたほうがいい。スフィンクスの目の前なので。
スフィンクスはピラミッドよりしょぼいかもしれないなと思ったけれど、近くへ行ってみたらもっと立派なのかもしれないという希望を持ち、移動することにした。
ガラクタやゴミをなぜ回収しないのだ。世界遺産エリアだぞ。
離れたらゴミは見えなくなったけど、スフィンクスって、こんなんだっけ。
「世界不思議発見」で見たやつと違う気がする。
というか、どこの何で見たものとも違うと思う。ピラミッドもスフィンクスも。みんな、もっと立派だったもの。
ぐるっと回ってスフィンクスの近くへ行ってみよう。
多分、スフィンクス側の入り口から入るとこちらから入場することになるのだと思う。
あっちから入るのとこっちから入るのとどっちがいいかと言われると、やっぱりこっちからだと思う。
露店とかあると、「観光地です」っていう感じがするし。偽物ではないのだろうかという疑惑が湧くカルバンクラインのTシャツを着た人がいるのも、観光地ならではだと思う。
ラクダだのロバだのが休憩中なのはどちらから入場しても大して変わらないけれど。
観光地まで歩く道に出店があるのは、観光地らしくていいと思う。多少気分も盛り上がるし。
別に買いたいなと思ったものもなかったけれど、この写真ぐらいなら、観光地的味わいはあると思う。出店があって旗があってバックにピラミッドなので。
犬は余分だが。何故あちこちに放し飼いなのか。
だけど、スフィンクスまで、又相当歩くのかな。
そこのスフィンクスに行きたいだけなので、ここから飛び越えて行きたいんだけど、
無理らしい。ぐるっと回らないといけないらしい。
スフィンクスの回りのあの囲いは、昔からあったのかな。テレビで見た時はもっと見晴らしが良かった気がするけれど。
あの囲いは、写真を撮るほうからすると邪魔なんだけど。
左からぐるっと回るわけだ。なんか、面倒臭いな。
スフィンクスの正面の先というか、立っていた場所から右を見ると、何かがあった。見えないので、一枚撮ってズーム再生してみたら、席が並んでいるみたいだった。これ、もしかして、夜のライトショーのためかな。だとすると、こんなところに座って真正面のスフィンクスの後ろから出る光を見るということかな。最高につまらなそうだ。
スフィンクスにも興味がなくなり、あちらへ行く気もしなくなった。少しここから立ってじっと見ながら考えたけれど、歩くだけ疲れる気がした。
ここじゃないんだよな多分。
この国じゃないんだよ。
写真を撮りたいほど気に入った場所なんてないや。ピラミッドもスフィンクスも、砂漠のようなただの空き地も、撮りたいなと思うようなものじゃないし。
ものすごくどんよりする。もうここにいたくないな。ランチにしよう。ご飯を食べよう。エジプト、ご飯は美味しいし。
ピラミッドを抜けて
ピラミッドエリアから出ようと思ったけれど、出口がいまいち分からなかった。ガードマンがいる石の扉があったけど、入ってくる人たちばかりで、出口かどうかは分からなかった。
もうどうでもいいので、出口じゃなければ止められるだろうと思い、そのまま扉から出て行った。ちゃんとした玄関なのかどうかとか、そういうの、全然分からない。だらしがないというか、出口入り口、扉とか玄関とか、全部適当な気がする。
随分端から出たようで、ちょっと歩いた。
そして、更に嫌になってきた。
見えたのは、ピラミッド地区のホテル街だった。ピラミッドが部屋から見えるホテルとか、ピラミッド景色を売りにしているホステルが多かったはず。コロナもあってか、随分閉店していたと思うけど。
暗く、汚い。薄汚れている。あちこちに糞がある。
最初は、窓からピラミッドが見えるホテルを探していた。窓からの風景だけを優先させていたらこのあたりに泊っていたかと思うとぞっとする。汚く、臭い。スーツケースのキャスターにはさぞかし糞がついたことだろうと思う。そしてその糞のついたスーツケースをホテルの部屋で開けるわけだ。ぞっとするな。
町はずれのホテルにしておいて良かったと心の底から思った。不潔だ。
町はずれでお湯が出ない上に床にお湯が漏れてトイレも流れないホテルでもそれはそれで不潔だが。
少し歩くと、行列が見えた。
あれ、チケット売り場かな。あれだったら向こうのチケット売り場のほうがいいな。やっぱりスフィンクス側は込むよね。
昨日ランチを食べたあたりまでやっと着いた。ピザハットが見えるし。
こっちは人が多い。
ああいう馬車が、街を走る許可証を持っている馬車とやらだと思う。そして、あちこちに糞を落としているのだと思う。
ピラミッドに用事がなくなった以上、他に行くところもない。お昼を食べる場所があればそれでいい。とりあえず座ろう。考えよう。
昨日のところはしれっとおつりを取っていくから、違うところがいいね。
ピラミッドのそばだからね。観光客が多いわけだから、レストランも多いはずなんだよ。
でも、全然レストランがないのは昨日で分かっていた。昨日通っていない道を通ってみたけれど、やっぱりレストランはほとんどなかった。お土産屋みたいなのはあるけどね。
車も多いし人も多いのに、何かが違う。観光しづらいというか、生活しづらいというか、動きづらいというか。
あ、薬局だ。行こう。
絆創膏が欲しかった。指がいつものようにおかしくなっており、運転していないのにどうしてだろうと思ったけれど、随分と早くおかしくなったので、これで分かった。
石鹸だと思う。海外ではホテルに泊まっており、手を洗うのは石鹸だ。日本ではハンドソープ。洗浄力が強すぎて皮膚がおかしくなるのだ。体は現地でお子様石鹸を買って洗っているので大丈夫だけど、手は洗面所の石鹼で洗うし、回数が多いから、すぐにこうなるわけだ。
今回は随分早く切れて固まっていたので、ハンドクリームのレベルではなかったため、絆創膏でカバーしたほうがいい状況だった。
埃だらけの薬局だったので閉店しているかと思ったけれど、ちゃんと開いていた。呼んでみたら人が出てきた。
絆創膏、イギリス英語で通じた。アメリカではバンドエイドだけれど、イギリスではプラスター(Plaster)だ。なんと、ばら売りをしており、何枚だったか忘れたけれど、数枚を5エジポンで買った。28円。ぼったくられているかいないか分からない値段だ。絆創膏数枚で28円はエジプトでは高いと言われればそんな気もするし。
とりあえず1枚出して指に貼って進んだ。
ランチで昭和初期の体験
たかだかお昼を食べるというそれだけでもこんなにも探さなければならず、それらしき店を見ても覗いて見てやっているかどうか確かめなければならない。糞をよけながら。
何となく、いかにも観光客目当てですよというレストランがあった。
とっても高い。
だけど、安くしておいてお釣りから抜かれるよりはいいかもしれない。最初からふっかけた値段のほうが盗まれた感がなくていいかもしれない。特に、カード払いができるなら。
中へ入り、カード払いができるかと聞いてみたら大丈夫だった。客は一人もいなかったけれど開いていたようなので、座りたかったし、今後どうするか考えたかったので、この最初からぼったくってくれている親切なレストランに入ることにした。
とりあえず、どうしてもフレッシュオレンジジュースだし。約50か。
何だか分からないけど、肉だよね。ケバブでいいか。
ささっと注文し、トイレを借りた。二階だというので二階へ行ってみた。
普通に綺麗なトイレで驚いた。
紙もあったし。本当に結構外国人がくるのだろうな。
2階にはトイレだけかと思ったけれど、テーブルがあった。結構お客さんが入るレストランなのかもしれない。窓側に家族がいたけれど、店員の家族でありお客ではなかったと思う。
ただ、2階のほうがゆったりしていて窓側に座れるようだったので、2階に席を移動していいかと聞いてみた。いいよというので、窓側に一人座った。
すると、
ブーンブーンブーンブーン
と、最近お目にかかっていない「ハエ」という羽のついた黒い生き物が集まってきた。
それはそれは、これではとても食事などできないだろうというほどたかってきた。
こんなにハエを見るのは久しぶりだな。
どうしてだろう。
昔はもう少しハエがいて、「ハエ叩き」という商品まであったのだ。
ハエ殺しのスプレーとかもあったよね多分。
そういえば、大人になってから見ないなぁ。
当たり前だよね。
うんこ落ちてないからね。
うんこあったらハエがくるはずだよね。
うんこまみれなんだからハエもいるよね。
観光客が一杯くるのに、馬だのロバだのラクダだのを走らせているんだからうんこぼっとんぼっとん落としていくのは分かっているのに、頑張って片づけたりしないようだけど、うんこあったらすぐ掃除した方がいい。
不衛生なんで。
いやんなっちゃうなあもう。
これからご飯なのに。ばい菌で下痢するぞ。