4日目⑨ 「ジャスミンピラミッドホテルでも呪われた水回り」






またなのか






と思いながらフロントへ行ったけれど、どう反応されるかは予想がついていた。

そして、予想通りの返事がきた。






「5分ぐらい出していると熱いお湯が出てくるから待ってみて」






出るわけないけど、待ってからじゃないと責められないので、一旦部屋へ戻った。

そして、アホみたいに、5分どころか10分ぐらい水を出しっぱなしにして待ってみた。







もちろん5分後も10分後もぬるま湯のまま。

今回ばかりはただごとじゃないという勘がした。











呪われた水回りの旅行者の勘。











お湯が出ていないのは、私の部屋だけではないはず。建物全体のお湯を沸かす機械に支障が出ているはず。

他の部屋も同じだと思う。






私が今朝までいた部屋には、親子連れがチェックインしていた。

ノックして出てきたお母さんに、お湯は出るかと聞いてみた。まだ分からないけどと言われたところで、この部屋は湯沸かし器なので逆に影響を受けていないであろう事を思い出した。その代わり熱湯しか出ないと思うけど。






その後、違う部屋をノックしてみた。

男性一人だったので、お湯は出るかと聞いてみた。チェックインしたばかりなのでまだ分からないけどというので、ちょっと試してくれないかと頼んだ。

やはりお湯は出ていなかった。






自信をもってフロントへ行き、もう10分以上たつけどお湯は出ていないので何とかするように言った。

まだしつこくちょっと待てば出ると言っているので、他の部屋も確かめたけれどお湯が出ていないと告げた。






「ワンミニット」






と、1分では何もできないであろう事は明らかなのに、又しても「1分攻撃」を受けた。どういう英語教育を受けたらそうなるのだ。








「1分待ったって何も変わらないでしょうに」







と私に突っ込まれ、「調べるからちょっと待ってくれ」と又言ってきた。

何でもかんでも1分とか5分とかそういう言い方をするようなので、真面目に受け止めて1分待ってみたりしないようにしましょう。1時間かかることでも平気で1分とか言います。英語では待たせる前にこう言うのだろうと思っているのだろうけど、とても短い時間だけ待たせる時に使う表現であり、とってもしばらく待たせることになる時に使うものではない。






さて、それから何度部屋に戻り何度フロントへ降りたか分からないけれど、マネージャーがいなかったため話にならず、でもマネージャーに連絡しろと言ってもどうしても嫌なようで電話してくれず、挙句の果てには、






「違う部屋でシャワーを浴びたらどうか」






と提案してきた。






ふざけんなよ脳無し

というのが、正直な気持ちだった。

この日は、満室だったと聞いている。つまり、他人が使用している部屋にシャワーだけ使わせてもらいに行くということ。男性が一人の部屋だったとしたら、そこに女性が一人で下着とタオルを持って裸でシャワーを浴びに行くということ。いくら頭が悪くても、客にそこまでやらせてはいけないと思う心があればそれで良かったが、そんな心もないらしかった。






私 「何で私が他の部屋へ行くの?私、シャワーのある部屋を宿泊を予約したんだよね。何で他の部屋にシャワーを浴びに行くの?今晩だけじゃないよ、明日の朝もシャワー浴びるよ。その度に下着とタオルとシャンプーから石鹸から全部もっていって、シャワー使わせて下さいって頼むわけ?そんで、又みんな持って帰ってくるわけ?部屋にいる人はどうするの?男がいるところに鍵もないシャワー室で裸になれっていうの?あんたたち、見張っててくれるの?それとも、その客に部屋から出てくれって頼むわけ?その人、その部屋を利用する契約でお金払ってるんでしょ?誰かがシャワーを借りる度に出ていかせるの?それで、荷物置いたまま?知らない人間が自分の部屋に入ってきてシャワー浴びる度にスーツケースを閉じて荷物を隠すわけ?あんたたちがボイラー直せばいいんじゃないの?何やってんの?何で私がシャワー借りに他の部屋へ行くのよ」






原理が分からず、いつかはお湯が出るとか、非論理的な思い込みで逃げようとしているため、お湯が出ないって言っているのに、全然話が進まなかった。

いい加減頭にきたため、「お湯が出てるかどうか自分で確かめなよ」と言い、裏へ移動することになった。






昨日年を越したレストランのようなところに行ったんだけど、そこに手洗い所があって、そこでお湯を出してみた。だけど、ここでもいくら待っても水に近いぬるま湯しか出なかった。

やっと信じたフロント男子、「5分待って」と、又無理な分数を言って私を待たせようとした。






これは絶対にボイラーだから、ボイラーを確認するようにと言った。ボイラーが機能しておらず、お湯を沸かせないのだ。どのようなボイラーが入っているかによっては、沸かすまで相当待たされる。






又しても待つようにと言われて、何度も待て待て言うが何も直らないじゃないかと責めたが、話にならない。なぜお湯が沸かないか分かっていないため、もうすぐお湯になると信じ込んでいた。

1分だの5分だの、大丈夫だお湯が出るだの、適当な事ばかり言って話にならないが、いつまでも待っていられないし、私はお風呂に入りたいのだから、すぐ何とかするようにと、無理だと分かりながら言った。










たまんないよな

部屋へ戻り、

たまんないなあもう

と思いながら考えた。






夜も8時頃、今晩待ってもおそらくお湯は出ないはず。こんな夜にエンジニアが来たとしても、この程度の理系脳軍団の国では、直せるレベルのエンジニアが来る確率は低い。

水は出るのだから、問題は水道ではない。それを沸かす機械が壊れているか、それを沸かす動力、電気なら電気、ソーラーならソーラー、ガスならガスが問題なのだ。






それから更に30分ほど待ちながら、この国にいるのがいかにバカバカしいかと考えていた。

チェックインは明けて30日だったけれど、宿泊は29日からで、29日、30日、31日と、まだエジプトで3泊しかしていない。利用したホテルの数は2つだ。それなのに、今いる部屋は、4部屋目だ。3泊でホテル2つで部屋4つって、

計算合わないからね。

そして今、又してもお湯が出ず、これは部屋の問題ではなく、建物全体のボイラーの問題であろうため、共通のボイラーを利用している部屋は全てお湯が出ないはず。今朝までいた湯沸かし器の部屋はこの部屋とは違うシステムでお湯を沸かしているかもしれないけれど、お湯は熱湯なのでシャワーを浴びられない事には変わりない。






今度は多分、部屋を交換しただけではダメなのだ。

でも、今日はこのホテルで2泊目で、最悪な事に、明日もう1泊延泊してしまっている。まともにお湯も出なければまともにWi-Fiも使えないこのホテルで。

こんなところにもう1泊いたら、熱湯で火傷するか、水で風邪をひくかのどちらかだ。前にいたバロンホテルのほうがまだましだ。






今日の分も明日の分も支払いは既に済んでいる。他のホテルへ泊まったら、二重でホテル代を払わないといけない。そして、二重で払ったとしても、次のホテルがまともだという保証はない。






何とかこのホテルがボイラーを直してくれれば・・・と思っていたけれど、このエジプト男子の脳で何がおかしいかを理解して的確に処理することができるのか疑問だ。エンジニアが元旦の夜に来てくれたとしても、直せるほどの脳があるエンジニアが来るとは限らない。











その動作性知能指数では無理だ

30分以上待ったけれど、もちろんお湯は出ていなかった。






下に降りると、さっきの男子が汗だくになっていた。

プリペイドのカードを大急ぎで買いに行ったそうだった。それをこれからチャージすると。






はい?

みたいな感じだったけれど、そのチャージするとやらの場所に着いて行った。






行った先は、さきほどお湯を確かめた、昨日年を越したレストランのようなところだった。

奥へ進むと、ふきっさらしみたいな場所があり、上の方にブレーカーみたいなものがあった。ここにチャージするのだと言っている。






彼の説明では、チャージ額が低かったからお湯を沸かせていなかったのだろうとのことだった。お湯を沸かすにはチャージしなければならず、政府の方針でプリペイドになっており、定期的にプリペイドカードを買ってチャージしていると言う。











はぁ・・・・・・。











正直、ホント、バカじゃないかと思って見ていたが、真剣にカードでチャージして、「もう大丈夫だ」と言っていた。これからお湯を沸かすため、1時間後にはお湯が出るだろうと。











はぁ・・・・・・。











論理的におかしいが、そんな難しい事を言っても分かるわけがないだろうと思った。話すだけ無駄な事はもう分かっていた。




電力がプリペイド式なのか。変な国だな。だけど、電力チャージが足りなくなると機能しなくなるのなら、なぜ電気がついているのだ。なぜお湯だけ沸かせないのだ。ボイラーを沸かす電力だけチャージ式なのか。そんな話があるか。




あるとしよう。ボイラーの電力だけチャージ式にしておく意味が分からないけれど、まあ、そんなこともあるとして、じゃあ、ボイラーはチャージ額が残り少ないと、勝手にお湯を沸かす機能を下げて「とっても少ししか」お湯が沸かないようにするのか。

水ではなかったのだ。多少ぬるかったのだ。多少沸かしていたのだ。つまり、完全に稼働を止めていたわけではなかったのだ。本当にチャージがなければストップするはず。でも、完全停止はしていなかった。

スカイプのプリペイド式も使っているけれど、チャージ額がなくなったら勝手に切れるぞ。少なくなった時点で音声の質や音量を勝手に落としたりはしないぞ。

どう考えても、ボイラーだけがチャージ式とは思えない。ならば、電力全てがチャージ式だ。だとすると、なぜお湯だけ沸かせないのだ。なぜ電気がついているのだ。






プリペイドでチャージしたからもう大丈夫なので1時間待てとのことだったが、まず待っても無駄だったので、私は海外あちこち行っているが、あちこちで水回りに不運だけれど、経験上、絶対に直らないと言えるよと言った。プリペイドの問題ではなく、ボイラーが稼働していないのだからボイラーを修理するためにエンジニアを呼ばないといけないと言った。チャージ額の問題ではないと。

それでもこの男子は大丈夫だと言い、1時間待てと言ってきかなかった。






なので、1時間待ってダメだったら、今晩の宿泊と明日のホテルをキャンセルしてねと言った。私はお湯が出るホテルに泊まりたいのであり、お湯が出ないなんてとんでもない話で、元旦からWi-Fiは使えないはお湯は出ないは、旅行をダメにしたくないので、既に1時間以上このお湯問題に費やしており、非常に迷惑なので、次にダメならキャンセルするようにと言った。

「分かった」と言うので、「約束だからね」と念を押した。「約束だ」との返事がきた。









さて、絶対無理だが、どうする

とりあえず、今晩と明日の晩で、ショッピングセンターの中や近くにあるホテルの空きを見てみた。夜の20時で今晩空いており明日も空いておりすぐ予約できるホテルなど、そうそうない。あっても、とっても高い。

1泊3万とか、高すぎる。こんな国で。







そこでちらりと見たのが、ノボテルだった。カイロにはノボテルがいくつかあるけれど、空港近辺にある1つが少し安めで、口コミも良かった。

1泊1万円ちょっと。空港付近なので回りには何もないけれど、空港に行くにはいいと思った。無料シャトルバスがあるし。




1時間以上待ち、時刻は21時ぐらい。

お湯を出すと、もちろん水状態。






フロントへ行った。











債務不履行

私 「お湯、出ないよ」

男子 「もうちょっと待っていたら出る。もう5分」

私 「いい加減にしてくれるかな。2時間以上お湯出てないから。でたらめばっかり聞かされているけれど、チャージしたから大丈夫なんて言ったけど、私が言った通りチャージなんて無駄だったでしょう」

男子 「チャージしたんだから、お湯が出るはずなんだ」

私 「出ないじゃない。今日と明日の分、キャンセルして。返金して」

男子 「僕は、大急ぎでプリペイドカードを買いに走ったんだ。すごく汗をかいて、このためにとっても走ったんだ。お湯を出そうと頑張ったんだ。もういいじゃないか」











ふざけるなって。

頭悪すぎるだろうお前。











そんな論理があるか。

論点が違う事を分かれ。

「ご注文のうどんにゴキブリの子供がたくさん入っていましたが、苦労して取りました。まだ少しゴキブリがいるかもしれませんが、私は頑張ったのでもういいじゃないですか」、みたいな。「いやそういう問題じゃないんで」っていう・・・。






切れたじゅんこさん、

「約束したよねえ」

と大きな声で言った。








「頑張ったんだからいいじゃないか」とか、甘えすぎ。走ってプリペイドカードを買いに行けば、海外から来た人が1万円以上払った部屋で文句も言わず水シャワーを浴びてくれると思ったら大間違い。






責任とか、お客へのためのサービスとか、そういう事は全然考えもしないようだった。

なのに、宗教色が強いからか、「約束」という事に対しとっても反応したらしく、

「そうだ。僕は約束したんだ」

と、多少プチ切れをしているように聞こえなくもない言い方で返事をしてきた。

「約束は守らなくては」

と。






約束していなくても仕事を遂行する上で責任の範囲内かと思うけど、とりあえずキャンセルできればいいので、放っておいた。

そして、やっとマネージャーに電話をする気になってくれたが、文句を言われた。






「僕はこれで、大変な事になる。マネージャーに怒られるんだ」











うっそー。

それが怖かったの。

だから電話をしたくなかったわけ?














子供かお前は。








仕事に対する姿勢も、とっても幼稚。むしろ何かあったらすぐにマネージャーに電話するべきだと思うぞ。






マネージャーに電話してアラビア語で何か話した後、私に電話を代わった。

お湯が出ないからこんなところに後2泊なんてできないから、キャンセルするから返金してくれと言った。そして、ある程度話した後、子供男子に電話を代わり、又アラビア語が始まった。






電話を切った後、どうだったかと聞くと、明日はキャンセルして返金できるけれど、今日は返金できないと言われた。

もう夜だから、デイユース料金が発生していると。






またここでカチーンときたが、知能指数が違い過ぎるだろうし、一刻も早くここを出る事を優先しないともっと夜遅くなるだけなので、言わなかった。






何を言わなかったかというと、

契約違反だぞ

ということ。






私が契約したのはアンスイートという「シャワー付の部屋」の「宿泊」。支払はそのための対価。実際与えられた部屋が契約通りの部屋でなければ、契約違反であり、契約は履行されていない。最初の部屋は熱湯で、次の部屋はお湯が出ない。ちゃんとしたお湯が出ないと知っていたら、私は契約しなかった。っていうか、誰がそんなホテルと契約するのだ。そして、本当はお湯が出るのに出なくなった場合何の対処もせずただ光熱費の追納をするだけなどというバカホテルだと知っていたら、それはそれで契約していない。

債務不履行が問えなかったとしても、損害は賠償するべきであり、返金が相当だ。契約書もなかったし、そんなものを作れるようなホテルではないだろうけれど、部屋に約款もなかったが、シャワーが2部屋共で使用できなかったのは利用客への損害として、2泊目は全額返金するべきだ。この日の朝にシャワーが熱湯だった事もあり、1日に二回もお湯が問題となっており、私がそのために無駄にした時間は4時間以上だ。損害を与えられ、非常に迷惑した。




そして、デイユースで契約したのではない。

宿泊で契約したのだ。勝手にデイユースにするな。デイユースなら、宿泊との差額を返せ。デイユースで宿泊料金をとるのか。通常夜何時以降なら宿泊料金となるという決まりはあるけれど、それは本当にデイユースの人たち又は無断キャンセルする人たちのための料金表だ。最初から宿泊希望で宿泊で予約している客に、デイユースを当てはめた上でデイユースより多い宿泊料金に勝手に切り替えるな。好きでキャンセルするのではない。お湯が出る事を条件にして予約した部屋でお湯が出ないからキャンセルしたのだ。この子たちの論理では、遅い時間まで客の気を引いてお湯が出ない事に気づかせないようにすれば全員出ていっても全員から宿泊料をもらえることになるじゃないか。

しれっと勝手に為替を変えて小銭をとっておいた後は、汗かいてコンビニ行ったからもういいだろうと言って修理せず水シャワーを浴びさせようとして、それが嫌だから出て行くという方向にもっていき、宿泊料金をしっかり取るのか。

さすがエジプトだな。






エジプト男子にそんな難しい事を言っても分からないだろうから、もう話すだけで腹が立つため、一刻も早くここを出ようじゃないか。



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-エジプトピラミッド切れ気味一人旅

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