かなりの緊張感でタクシーへ
外に出ると、意外にも私のほうがタクシーより早かった。
1,2分ほどでそれらしき車がきたので、「シティースターズ?」と言うとうなずいたので、車に乗り、「65エジプトポンドだよね?」と念を押した。今度もうなずいてはいたけど、100エジポンのお札を出したら態度が変わるからもしれない。信用してはいけない。
そう思いながら、一人だけ一触即発なオーラを出しながらタクシーに乗っていた。
16時45分。
冬だし、日暮れが早い。
こうして見ると、北アフリカとはいえ、アフリカの太陽だなという感じもする。
エジプトの日暮れか。国はどうであれ、綺麗だな。
多少寂しい気もしてきた。私、この国を出るのか。
もしかしたら、どこか楽しいところが他にあったのかな。私が間違ったところへ行っていただけで。
あ、これ、私が最初に泊ったバロンホテルから見えた建物じゃないかな。ほんの数日前なのに、数か月前な気がするよ。
16時56分。そろそろかな。
記憶にある景色だ。もうすぐ近くだ。
着きそうだ。身構えないと。100エジポンで、お釣りくれないかもだから。
着くころになると神経がはりつめ、喧嘩になる心の準備をしていた。
殺気立っていたと思う。
すごいオーラだったと思う。
16時59分、すぐそこに見えたけど、違う入り口に行くらしかった。
どうやらアプリで指定した場所が違う入り口だったらしく、シティースターズにいくつも入り口があることを知らなかった私は、一瞬不安になった。
でも、この入り口を見て、むしろこっちが本当の入り口だったのであろう事に気が付いた。
17時5分、到着。
「お釣りくれる?」と言いながら、100エジポンを出し、「35エジプトポンドある?」とわざわざ正しい数字を言いながら、殺気立っている目で運転手がお釣りを出すのを見ていた。
そして運転手は、私に35エジポンを渡した。
大変だ。
計算が合っている。
そこで、緊張の糸がプツンと切れた。
ああ、無事に65エジポンでシティースターズに着いたわけだ。140円のジュースを140円で買った気分だ。
入り口に近寄り、穏やかに買い物をしようと思いながら入って行った。
買い物開始
前回と違う入り口から入ってみたら、全然違う光景だった。
多少戸惑いながらも、その手前の広告に目が行った。
おいしそうなエジプト料理だな。何が書いてあるか分からないけど、もしかしてインド料理かな。
こちらの入り口から入ると、お店が少なかった。
レストラン街に近い雰囲気だった。
かといって、まだお腹はすかないし、とりあえずお店がいっぱいあるほうへ行こう。
シティースターズにはパンフレットがない。その代わり、電子版のフロアマップなら数か所あった。日本食があるようだったので、この、将軍レストランとやらに後で行くことにしよう。
訳も分からず歩いていると、お店が多いフロアに到着したみたいで、マークスアンドスペンサーが見えた。
ちょっと見たけれど、輸入だから高いし、全然セールじゃないし。
クラークスも外から見たけど、大したことないので素通り。
ドレスか。
大きそうだ。
半袖はないのかな。
どこがどこだかさっぱりわからんな。
ここはどうかな。
いかにも冬物だ。
全然セールもやってないし。
あっちも見たけど、夏物なし。
そうこうしているうちに、見慣れた場所についてしまった。
うっそー。じゃあもうしょうがないよね。将軍じゃなくていいか。
エジプトを出る前に、あのアラビアータをもう一度食べよう。
もう二度と来ないから、食べおさめだ。
私にとって最高のアラビアータをもう一度
17時19分、本日は外の席にした。
今日は、スープじゃなくて、サラダを食べよう。クラシックシーザーにしようかな。チキンかエビのトッピングができるらしいな。そんなに食べたらお腹いっぱいになるから、クラシックのままでいいや。
アラビアータは、今日はシーフードにしよう。チキンはだいぶお腹にたまっちゃったからね。
飲み物は、キウィに桃にチェリーライチにラズベリーピーチか。下にフレッシュジュースが別にあるから、きっとこれらはフレッシュではないのだろうな。じゃあ、ファンタにしようかな。何があるのか聞いてみよう。それにしても、ファンタとコーラとスプライトだけ変な書き方だな。
私 「この、ファンタって、何味なの?」
ウェイター 「グレープと、オレンジと、アップルと、・・・」
私 「アップル!?」
アップルがあるのか。それはきっとおいしいはず。日本ではわけのわからんのが色々出ておかしくなっているけれど、海外のアップルは絶対美味しいはず。
迷わずクラシックシーザーとシーフードアラビアータと一緒に注文。アラビアータは、ムール貝が入っていたら抜いてと頼んでおいた。
待つこと2分。ファンタアップルが登場。
缶のまま持ってこられても困るが・・・。
グラスを頼み、待つこともう1分、グラス氷ストローの3点セット到着。
いい色。色もいいけど、味も良かった。本当に美味しかった。買って帰りたかった。
そして届いたシーザーサラダ。
私は、レタスとチーズしか入っていないシーザーサラダを初めて見た。
単語、「クラシック」ではなく「シンプル」の間違いではないだろうか。
このシーザーは、レタスがそれほど新鮮だったわけでもなく、その上チーズしか入っていないため、一言でいえば大失敗だったと思う。それでも頑張って食べたら、なんだかちょっとお腹がいっぱいになってきてしまった。
それなのに、とっても多いアラビアータが登場。
もっと溢れんばかりにシーフードが入っているかと思ったら、そうでもなかった。
だけどいいの。
何度食べてもおいしいの。
なんておいしいのだろうと思いながら食べていたけれど、食べても食べても減らない気がした。日本でパスタを食べたらあっという間に終わるのに、食べても減ってくれない。
ここでやっと100gではないのだろうと確信した。
苦しいと思った頃でも、まだこんなに余っていた。
この最高のアラビアータを残すぐらいなら、サラダなど食べなければ良かった。あの程度のサラダならどこでも同じだ。
頑張って食べよう。
・・・・・・。
いやもうダメだな。
限界の姿。
ほとんど食べたと思うけど。できれば全部食べたかったんだよ。どっちも。
何グラムだろうな。150はあったと思うけどな。
残念。残して会計。370エジポンで、カード払いで2027円。前に食べた時は1553円。サラダのほうが高いのか。
では、ごちそうさまでした。さようなら最高のアラビアータ。またどこかの国で見つけるよ。イタリアがいいかな。
17時59分、ちゃんと買い物へ行こう。
マンゴー、一応入った。
これがセールかな。半袖ではあるけど、みんな大きい。
冬物も多少はセール。買うものないな。
パジャマ屋さんかな。下着も売っているらしい。
いい感じの名前だ。セールもやってる。
長袖のTシャツか。薄ければ長袖のほうがいいんだけどね。日焼けするだろうから。
いまいちピンとこないけど、他に何もなかったら後でこれを買いに戻ってくるかな。
と、簡単に戻れるようなショッピングセンターではないのに思っていた。
そして、てくてく歩いていると、カレンミランが出てきた。
もう今日行っちゃおうか?
いや、そうすると、明日はどうする。明日も来るのかな。2日間買い物できるだろうほど大きいから大丈夫か。
だけど、ノーブラだしな。ドレスの試着は、ノーブラじゃダメなの。できればストッキングも履いた上で試着したいんだけどね。
すっぴんなことは100歩譲っても、ノーブラはダメだ。
じゃあブラジャーを買うか。
そうだ。そうしよう。それがいい。
ヴィクトリアシーックレット。可愛いんだけど、大きい上に高いんだ。
さっき、下着売っていたよね。あそこ、どこだったかな。あそこに行けばそれなりに安いやつあるんじゃないかな。
戻ろう。
と、戻っているつもりではいるけれど、全然どこだか分からない私がふらふらと歩いていく。
ボディショップなんてさっきなかったと思うから、こっちは違うんだろうな。
でもやはりボディショップには入らずにいられず、今回も入ってみたけどやっぱり全然安くないのでやめた。
あ、あった。全然分からないけど、何故かしら着いたよ。良かった。
セールのブラジャーにしようと思ってさ。
どれにしようかな。
なんて迷えるほど選択肢はなかった。大きいのばかりで、アンダーバストが一番小さいやつは2種類ぐらいしかなかったと思う。
その割にめちゃくちゃ悩んだけど、やっと赤いのを手に取り、レジに並んだ。
レジには、女性が2人いた。スカーフをしていなかったので、イスラム色はそれほど強くなかったと思う。
何せ、ひどく教養がなく無神経。たくさん買っていたけれど、さらに持ってきたりして、その上返品したり、好き放題の2人組だった。私が並んでいるのに気にすることもなく好きなだけレジで時間をかけていたため、見かねた店員の女性が何か言ってくれたらしい。くるっと振り向いて私に何か言っていたけど、何だか分からなかった。
やっと私の番がきたので、店員の彼女に、あの2人組はどこの女性だと思うかと聞いたら、レバノンじゃないかしらと言っていた。エジプト女性はあんなに意地悪ではないと思ったんだよね。
エジプトの女性は、中東らしさがある人が多いというか、中東女性は、無神経とはほど遠いと思うんだよね。レバノンも中東だけど。
そして買った私のブラジャー、249エジポン。カード払いで、1364円。これでもセール。日本のほうが安い。これはホテルで撮ったやつだけど、もうこれを見るからに分かると思うけど、
形がおかしい。私のおっぱいというのではなく、どんな人のおっぱいにも合わなそうなブラジャーだった。次の旅行で捨てる予定。
試着もせずに買ったからそういうことになるけれど、多分合うものはなかったと思う。
レジでタグを切ってもらって、袋に入れて手荷物。この時点ではまだつけていないので、こんなにも胸に合わないブラジャーだということには気が付いていなかった。
では、カレンミランへ行こうか。