やっぱりナビはうまくいかない
次は、車に乗り、ナビをセット。
ナビは大体うまいこといかないので、最初にセットする時には必ずレンタカー屋にいて欲しい。
ナビはいつもの「ガーミン」でした。おそらく一番安いタイプ。でも、今回は吸盤がちゃんとあったので、窓ガラスにちゃんとくっつけておけるものだった。
お兄ちゃんの前で電源を入れ、ナビがちゃんと動くことを確認して、今晩のホテルをセットしてみた。
案の定出てこない。ホテルが結構新しいから、アップデートされたナビでなければダメだと思う。ホテルが併設しているショッピングセンターの名前を入れてみたけど、やっぱりダメ。
だからアップデートをいつしたか聞いたのに。購入したのが昨日でも、店頭に置かれたのが2年前では意味がないもの。
お兄ちゃん、四苦八苦してナビにホテルを出そうとしたけど、全然ダメ。近所の建物から何から何まで全然ナビに入っていなかった。10年ぐらい前からある建物なら入っていただろうけど。
お兄ちゃん、「このホテルなら分かるよ、彼が住んでる場所の近くだし」と言いました。「彼」とは、もう一人のお父さんぐらいの従業員さんのこと。
だから、「じゃあ彼に近所まで誘導して行ってくれるよう頼んでくれない?」と頼んでみた。そのお父さんぐらいの人はさっき帰ったばかりだったので、まだすぐそのあたりにいるだろうと思った。
お兄ちゃんはすぐにお父さん従業員の携帯に電話して頼んでくれました。ホテルまでの誘導はOKとのことだった。もう出発していたので、レンタカー屋を出て一番最初のスタンドで停まって待っていてくれるって。
そういうわけなので、私も後を追って出発することに。
マレーシアでの運転開始
空港の駐車場を出てすぐに一旦停止。確か、眼鏡を探してバッグから出してかけたのだと思う。夜だったので暗かったから。
そして、運転。
何の緊張感もなし。
普通、最初に乗った時は、少なからずともワクワクしたり緊張したりするのですが、まるで自分の車に乗って近所へ普通に出て行っているような感覚だった。
車に乗るまでがあまりに長過ぎ、緊張感も死んでしまったらしい。
もう真っ暗だったし。21時過ぎだったもの。
さて、「最初のスタンド」とやらには問題なく到着し、お父さん従業員の車を探しました。
お兄ちゃんから、車の色は青ということと、車種を聞いていた(車種は忘れたけど)。
でも、車から降りてその青い車を探したけど、いなかった。ちょっと待ってみたけど、青い車など来なかった。
一応もう一度全部の車を見てみたけど、青の車自体が存在していなかった。
お
とりあえず喉が乾いたからスタンドのお店で何か買おうと入ろうとしたけれど、ちょうど閉店してしまった。ジュースも買えないじゃないか。
ここで一人でどうするのだ・・・。
何もないぞ。
時刻は21時半。仕方がないから、散財して日本の携帯からお兄ちゃんへ国際電話を。番号を聞いておいて良かった。
私「スタンドに着いたんだけど、青い車なんてないよ」
お兄ちゃん「おかしいな。彼にどこにいるか聞いて電話するよ」
そして、待つ。
数分待つ。
だけど、電話はこない。
仕方がないから、又こちらから散財して国際電話。
私「何分待たせるのよ」
お兄ちゃん「ごめんごめん。彼に電話したけど、帰ったって」
私「は?」
お兄ちゃん「帰っちゃったって」
私「自分で待っててくれるって言ったのに、何も言わずに帰ったわけ?」
いわゆる ばっくれ という言葉にふさわしい境遇に遭ってしまった。おめでとう私。
信じられなかったですね。おそらく、60歳ぐらいだったでしょうか。そんな大人が無責任にも勝手に帰るのか。嫌なら嫌だと言って断ればいいじゃないか。こんなところに外国人を一人残して、しかも自分の客なのに、良く平気で帰れるよね。
私「何がどうしたの?それであなたは帰ったって分かってるのに何で電話しなかったわけ?」
お兄ちゃん「いいよいいよ。気にしないで」
は?
「It's OK. Never Mind.」
これは、ご存じ、こんな時に使うセリフではありません。It's OKはもちろん「大丈夫だよ」みたいな感じで、Never mindは、「気にしないで」みたいな感じです。彼が言うのではなく、私側から言うのであれば問題ないのですが、彼がこの状況で自分から言うセリフではありません。
そしてこの、「It's OK」と「Never mind」は、その後私をマレーシアでムカッとさせたワースト3のセリフのうちの2つとなりました。
「大丈夫じゃないんだよ」と言う私に、彼は間髪を入れずに、
「明日叱っておくから」、と。
彼が使った単語は、「Scold」 でした。スコウルドです。英検準2級ぐらいの単語かな。ものすごく昔に覚えた単語だ。
これは、日本の試験には出てくるかもしれないけれど、通常会話にはあまり出てきません。ちょっと文語体というか、古いような感じです。
しかも、ニュアンスとしてはやはり、こんなお兄ちゃんが父親ほど年の離れた相手に使う言葉ではありません。お兄ちゃんが上司でお父さんが部下だったとしても、やはりちょっとおかしいと思う。
一瞬びっくりして黙ったけれど、まだ初日だったのでイライラタンクが満タンではなかったし、気を取りなおし、
私「どうすんのよ。帰っちゃったって何なの。そんな無責任ある?」
お兄ちゃん「今僕が行くから」
全然信用できないので、
私「すぐ出てくれるの?何分かかるの?すぐ出るなら5分もあれば着くはずだよね」
「わかった」と言われたので、素直に電話を切って待ってみた。
するとお兄ちゃん、誰かの車に乗せてきてもらって登場。
「誘導してよ」と言ってみたけど、「僕の家は逆方向だから遠回りだから嫌だよ」とのことだった。
いっそのこと誘導してくれたほうが早かったけど。
予感
とりあえずナビに取り組んでみたけど、やはり何も出てこないので、携帯のGPSはどうかと聞かれました。日本のスマホはデータ通信を切っているから全然動かないし、そんな高額を払って日本のスマホを使う気もない。本来GPSはデータ通信を切っても動くと聞いているけれど、遅すぎて反応しないのか何なのか、全くムダだった。
イギリスのスマホはシムカードが入っているから電源は入ったけど、使えなかった。マレーシアのシムを買わないと。海外では、現地で電話をかけたいし受けたいので、現地のシムカードを購入するのが基本。
お兄ちゃん、自分が前に使っていたスマホを貸してあげるからこれでGPSを出してみてと言って終わらせようとしたけれど、そのスマホの電源がつき、ちゃんと現地を地図に出し、目的地を設定できることを確認しないと、こちらも譲れない。
案の定、そのスマホの電源を入れてみてと頼んでみたけど、彼のスマホは全然現在地を出すこともなく、全く動かなかった。私のイギリスのスマホと同じ状態。何の意味もない。
そこで妥協策として出されたのが、「シムカードを買いに行こう」ということだった。私のイギリスのスマホにマレーシアのシムカードを入れて動かし、GPSでホテルまで誘導してもらえばいいということ。
こんな、22時も過ぎて空いてるのは空港ぐらいだから、「空港へ行こうって言うんでしょ」と聞いたら、「そうだよ」と言われた。だけど、ターミナル2のほうだって。そして、お兄ちゃんの運転で空港へ。
そして空港へ向かう途中、すごく嫌な予感がした。「この旅行はろくなものにならないな」みたいなお告げ的な気分が降ってきた。
なので、
絶対に無理はすまい
と思った。
自分の予感に従い、どんなに行きたい場所でも、気が進まなければ止めること。すんなりいかなかったら運がないと思って諦めること。これは、私の旅行のルールのうちの2つです。
あがく時と諦める時の区別を間違うと、絶対に取り返しのつかないことになると思っているので。言い換えると、「闘うべきところじゃないのに闘って殺されるな」ということです。でも、この区別って、本当に難しい。予感とかしか頼るものがないし。
その後1週間、特に犯罪に巻き込まれるようなこともなかったのですが、イライラしっぱなしだった。
シムカード
さて、ターミナル2の真ん前にでーんと車を駐車して、2人で空港内へ。結構歩いたな。疲れていたのに。23時ぐらいだったと思う。
携帯会社は数社あったのですが、お兄ちゃんが、自分が使っているセルロンという会社がいいよというので、そこへ直行。プリペイドのシムカードを売っていたので、番号を選んで1つ購入しました。どうやって追加料金を入れるのかと聞くと、
「インターネットもGPSも使いたい放題で無料だよ」
と言っていた。ほほう。マレーシアには珍しい会社があるものだな。
レシートでは合計40リンギット(約1,160円)だけど、シムがいくらで前金のプリペイドがいくらかは忘れました。使いたかったのはGPSだけだし、念の為というだけで実際は通話をしないだろうから、お金はそんなに入れなかった。
ところが、購入してすぐイギリスのスマホにシムを入れてみたけど、GPSは現在地を全く出してくれなかった。ようするに、シグナルを拾っていなかった。
ここは空港内だから電波が悪いに違いないということになり、お店を出て空港を出て車に乗って、さっきのスタンドへ。
その間、現在地を出してくれるかと思って待っていたけれど、全然出てこなかったけど。
お兄ちゃん、一服。
すごくいい香りのするタバコがあるんですよね。多分、インドネシアにもあるんだよな。フルーツの香りがするの。煙がいっぱいでて、電子タバコなのか本物なのか知りませんが、ちょっと吸わせてほしいなというぐらいいい香りだった。
そして、現在地がちっとも読み取られないまま、20分ぐらい軽く過ぎていった。
もういいよね。
眠いよね。
疲れたし。
めちゃくちゃお腹すいたし。
そこで私は、ナビを触ってみた。一番安そうなレベルのガーミンだったのでタッチパネルがどうか分からなかったけど、指でスクロールしてみた。
そしたら、感度は悪かったけど、動いた。
車で行けと言われたらぐるぐる高速でどこだか分からないので無理だったけど、地図上のどのあたりにホテルがあったかは日本で地図を見ていたので、記憶していました。なので、そこまでナビをスクロールしてみた。
そしたら、何とかホテルのあたりまでスクロールして持って行けたので、タップしてみた。普通なら、それで目的地設定ができるはずだから。
タップなんてものではなくかなりの突き指状態だったけれど、指を折る前に何とか感知してくれたので、目的地を設定することができました。
これでここから脱出できる
お兄ちゃんに、「ナビを設定できたよ」と言って、やっと出発することに。
お兄ちゃんが自分のスマホを片付けると、そこで皮肉にもスマホが現在地をやっと把握してくれた。もう放っておいたけど、現在地を取得するのに数十分かかるようなスマホを貸して終わらそうとしてはいけない。
私「お腹ぺこぺこ。この高速のどっかでレストランあるかな」
お兄ちゃん「あるよ。このまま行くと、サービスがあるから、そこのレストランが開いてるよ」
そして、私は無事出発。
もちろん、言われたレストランはやってないなかった。
私はまだ、「マレーシアでは何を言われても疑ってかかれ」ということに気が付いていなかった。
きっと、私だけよ。みんなは大丈夫だと思うからね・・・。